学研全訳古語辞典 |
さる-あひだ 【然る間】
分類連語
そうしているうち。
出典伊勢物語 四〇
「さるあひだに、思ひはいやまさりにまさる」
[訳] そうしているうちに、(男の)思いはいよいよつのっていく。
なりたち
連体詞「さる」+名詞「あひだ」
そこで。さて。
出典隅田川 謡曲
「さるあひだこの辺の人々、この人の姿を見候ふに」
[訳] さてこのあたりの人々がこの(幼い)子の姿を見ますと。
しかる-あひだ 【然る間】
①
そうしているうちに。そのうちに。
出典今昔物語集 二六・一七
「しかるあひだ、向かひなる屋(や)の軒(のき)に、狐(きつね)さし臨(のぞ)きて居たるを、利仁(としひと)見付けて」
[訳] そのうちに、向かいの家の軒に、きつねがのぞいてすわっているのを、利仁が見つけて。
②
それだから。それゆえ。
出典平家物語 三・足摺
「中宮御産(ごさん)の御祈りによって、非常の赦(しや)行はる。しかるあひだ、鬼界の島の流人(るにん)、少将成経(なりつね)、康頼(やすより)法師、赦免」
[訳] 中宮の御出産の御祈りのために、特別の恩赦が行われる。それゆえ、鬼界が島の流人少将成経、康頼法師は赦免。◆ラ変動詞「しかり」の連体形に名詞「あひだ」が付いて一語化したもの。
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