学研全訳古語辞典 |
あひ- 【相】
〔動詞の上に付いて〕
①
ともに。いっしょに。
出典万葉集 一五五八
「思ふ人どちあひ見つるかも」
[訳] 仲の良い者同士でいっしょに見たことよ。
②
互いに。
出典万葉集 一三
「耳梨(みみなし)とあひ争ひき」
[訳] (香久山は)耳梨山と互いに争った。
③
たしかに。まさに。▽語調を整え、また、強調したり改まった態度などを示す。
出典源氏物語 蜻蛉
「あひ思ひたるさまながら」
[訳] (私を)たしかに慕ってくれているようすながら。
さう 【相】
①
様相。外見。ありさま。▽外面に現れた姿・形。
出典徒然草 一四三
「愚かなる人はあやしく異なるさうを語りつけ」
[訳] 愚かな人は、不思議な、常と異なる様相を付け加えて話し。
②
外面に現れて、ものの吉凶を示すもの。人相・家相・地相など。
出典源氏物語 桐壺
「帝王の上(かみ)なき位にのぼるべきさうおはします人の」
[訳] 帝(みかど)というそれより上のない位に進むはずの人相がおありになる人で。
ショウ 【上・正・生・庄・床・声・性・尚・姓・荘・相・清・省・将・唱・笙・菖・装・掌・聖・鉦・障・箏・精・請・賞】
⇒しゃう
ソウ 【双・庄・早・相・荘・草・桑・曹・笙・箏・騒・糟】
⇒さう
あい 【合い・会い・逢い・相・間】
⇒あひ
さが 【性・相】
①
性格。生まれつきの性質。
出典源氏物語 椎本
「いと隈(くま)なき御心のさがにて、おしはかり給(たま)ふにや侍(はべ)らむ」
[訳] (匂宮(におうのみや)は)たいそう抜け目のないお心の性格から、推量なさるのでございましょうか。
②
運命。宿命。
出典伊勢物語 三一
「よしや草葉よ、ならむさが見む」
[訳] ままよ、草の葉よ、(草の葉がこれから)なるだろう運命を見よう。
③
ならわし。慣習。
出典源氏物語 花散里
「とかくに変はるも、ことわりなる世のさがと思ひなし給(たま)ふ」
[訳] 何やかやと心変わりしていくのも、無理もない世の中のならわしとおあきらめになる。
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