学研全訳古語辞典 |
あた・ふ 【能ふ】
活用{は/ひ/ふ/ふ/へ/へ}
①
できる。
出典方丈記
「深く喜ぶことあれども、大きに楽しむにあたはず」
[訳] 深く喜ぶことがあっても、大いに楽しむことはできない。
②
道理にかなう。納得がいく。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「罪の限り果てぬればかく迎ふるを、翁(おきな)は泣き嘆く、あたはぬことなり」
[訳] (かぐや姫の)罪のすべてが終わったのでこのように(月から)迎えに来るのを、翁は泣き嘆くが、道理にかなわないことである。
③
適する。ふさわしい。
出典今昔物語集 一〇・一
「高く直くして壁を塗りたるごとし。人登るにあたはず」
[訳] (山は)高く垂直であり壁を塗ったようである。人が登るのに適さない。
参考
(1)多く下に打消の語を伴う。(2)不可能を表す表現として「…ことあたはず」「…にあたはず」の形で漢文訓読体の文章で用いられた。和文では「え…ず」「え…あへず」が用いられた。
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