学研全訳古語辞典 |
いち-しる・し 【著し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
明白だ。はっきりしている。
出典枕草子 胸つぶるるもの
「いちしるからぬ人の声」
[訳] (だれとは)はっきりしない人の声。
参考
古くは「いちしろし」。中世以降、シク活用となり、「いちじるし」と濁って用いられる。「いち」は接頭語。
いち-しろ・し 【著し】
「いちしるし」に同じ。◆上代語。
しる・し 【著し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
はっきりわかる。明白である。
出典源氏物語 若紫
「いといたうやつれ給(たま)へれど、しるき御さまなれば」
[訳] たいそうひどく目立たなくなっていらっしゃるが、(普通の人ではないことは)はっきりわかるごようすなので。
②
〔「…もしるし」の形で〕まさにそのとおりだ。予想どおりだ。
出典方丈記
「世の乱るる瑞相(ずいさう)とか聞けるもしるく」
[訳] 世の中が乱れる前兆だとか聞いたのも、まさにそのとおりで。
しろ・し 【著し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
はっきりしている。明白だ。
出典保元物語 上
「しろく院方(ゐんがた)へ参る由を言ひて」
[訳] はっきりと院の方へ参上する理由を言って。
著しのページへのリンク |