学研全訳古語辞典 |
ちか・し 【近し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
(距離的・時間的に)近い。
出典鳥の道 俳諧
「秋ちかき心の寄るや四畳半―芭蕉」
[訳] 暑い夏も終わろうとし、秋の近い気配が日増しに感じられるこのごろである。その気配の中で一座した人々の心は深く寄り合うことだ、この落ち着いた四畳半の中で。
②
(心理的に)近い。親しい。身近だ。手近だ。
出典枕草子 木の花は
「梨(なし)の花、よにすさまじきものにして、ちかうもてなさず」
[訳] 梨の花は、まったくおもしろみのないものとして、身近には取り扱わない。◇「ちかう」はウ音便。
③
(関係が)近い。近親である。似ている。
出典徒然草 八〇
「禽獣(きんじう)にちかき振る舞ひ」
[訳] 鳥獣に近い振る舞い。[反対語]①~③遠し。
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