学研全訳古語辞典 |
くさのとも…
分類俳句
「草の戸も住み替はる代(よ)ぞ雛(ひな)の家」
出典奥の細道 出発まで・芭蕉(ばせう)
[訳] 世捨て人のような私が住んでいたわびしい草庵(そうあん)も、主(ぬし)の替わる時が来た。折しも雛祭りで、娘を持つ新しい主人を迎えて華やぐ旧居をあとに、はるかな旅に立つことである。
鑑賞
旅立ちに際して、江戸深川の芭蕉庵(ばしようあん)を人に譲り、門人の杉風(さんぷう)の別宅に移った折の句である。初案は中七が「住み替はる代や」であったが、「ぞ」と変えたことで、旅立ちの決意のほどが明確になった。季語は「雛」で、季は春。
くさのとものページへのリンク |