学研全訳古語辞典 |
ため 【為】
①
ため。▽目的とすることを表す。
出典徒然草 一八八
「説経師にならんために、まづ馬に乗り習ひけり」
[訳] 経文を説く僧になろうとするために、まず馬に乗ることを習った。
②
ため。▽利益になるようにすることを表す。
出典古今集 春上
「君がため春の野に出(い)でて若菜摘むわが衣手(ころもで)に雪は降りつつ」
[訳] ⇒きみがためはるののにいでて…。
③
ゆえ。せい。▽原因・理由を表す。
出典徒然草 二四〇
「かくあやしき身のために、あたら身をいたづらになさんやは」
[訳] こんなにいやしい身の上のせいで、惜しいことに、その一生をむだにするだろうか、いや、むだにしない。
④
〔「…の(が)ため」の形で〕…にとっては。…に関しては。▽関係していることを表す。
出典徒然草 七三
「わがため面目あるやうに言はれぬる虚言(そらごと)は、人いたくあらがはず」
[訳] 自分にとって面目が立つように言われたうそに対しては、人はたいして抵抗しない。
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