学研全訳古語辞典 |
ほん-か 【本歌】
①
もともとの歌。また、根拠となる歌。「本歌取り」をした場合の、もとになった歌。
出典毎月抄
「ほんかの詞(ことば)をあまりに多く取る事は、あるまじき事にて候ふ」
[訳] 本歌取りのもとになった歌の言葉をあまりに多く詠みこむことは、あってはならないことでございます。⇒本歌取(ほんかど)り
分類文芸
。
②
(正統の)和歌。▽狂歌・俳諧歌(はいかいか)などに対していう。
本歌取り
分類文芸
和歌・連歌(れんが)の表現技法の一つ。古歌(典拠とする古歌を「本歌」という)の用語・表現・情趣などを採り入れて詠み、より複雑な趣を出す技法。新古今時代に盛んに行われた。たとえば、「苦しくも降り来る雨か神(みわ)が崎狭野(さの)のわたりに家もあらなくに」(『万葉集』)〈困ったことに降ってきたにわか雨だなあ。ここ三輪の崎の狭野の渡し場には雨宿りする家もないのになあ。〉を本歌とし、本歌の雨を雪に変え、馬を配し、時を夕暮れとして、藤原定家(ふじわらのさだいえ)が「駒(こま)とめて袖(そで)うちはらふ陰もなし佐野(さの)のわたりの雪の夕暮れ」(『新古今和歌集』)〈⇒こまとめて…。〉と詠んだなど。無季の本歌を、冬の世界の絵画的で幽玄な趣の歌に変えている。
ほんかのページへのリンク |