学研全訳古語辞典 |
あが・る 【上がる】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
高い方に上がる。
出典更級日記 後の頼み
「蓮華(れんげ)の座の、土をあがりたる高さ三、四尺」
[訳] 蓮華の台座が、地上から上がった高さ三、四尺。
②
(馬が)はねる。
出典枕草子 正月一日は
「馬のあがり騒ぐなどもいとおそろしう見ゆれば」
[訳] 馬がはねて騒ぐのなどもとても恐ろしく思われるので。
③
時代がさかのぼる。
出典大鏡 後一条
「大織冠(たいしよくくわん)より始め奉りて申すべけれど、それはあまりあがりて」
[訳] 大織冠藤原鎌足(ふじわらのかまたり)公から始め申して申し上げるのが当然ですが、それはあまりにも時代がさかのぼって。
④
(京都で内裏(だいり)のある)北へ行く。
出典膝栗毛 滑稽
「京都千本通り、中立売(なかだちうり)ひょいとあがる所」
[訳] 京都千本通り、中立売をちょっと北に行ったところ。
⑤
官位が進む。昇進する。
出典源氏物語 少女
「大臣(おとど)、太政(だいじやう)大臣にあがり給(たま)ひて」
[訳] (源氏の)内大臣は太政大臣にご昇進になって。
⑥
上達する。
出典連理秘抄
「人にふと越されて縮け立ちぬれば、あがることなし」
[訳] 人にちょっと追い越されて萎縮(いしゆく)してしまうと上達することはない。
⑦
〔「気(け)のあがる」などの形で〕のぼせる。上気する。
出典徒然草 四二
「気(け)のあがる病ありて、年のやうやうたくるほどに、鼻の中ふたがりて」
[訳] のぼせる病気があって、年がしだいに盛りをすぎるにつれて、鼻の中がふさがって。
参考
「あがる」と「のぼる」の違い 上の方に移動する意味を表す点では共通しているが、「あがる」は一気に上に移動して、上にあるという状態を表す方に重点がある。それに対して「のぼる」は、しだいに上の方に移動する意味を表し、あがっていく過程・経過が中心になる。
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