学研全訳古語辞典 |
いで-・く 【出で来】
{語幹〈いで〉}
①
出て来る。現れる。
出典平家物語 九・木曾最期
「武蔵(むさし)の国に聞こえたる大力、御田八郎師重(おんだのはちらうもろしげ)三十騎ばかりでいできたり」
[訳] 武蔵の国で評判の大力、御田八郎師重が、三十騎ほどを引き連れて現れた。
②
生じる。起こる。できる。
出典伊勢物語 二三
「河内(かふち)の国、高安(たかやす)の郡(こほり)に行き通ふ所いできにけり」
[訳] 河内の国、高安の郡(こおり)に通って行く所(=新しい女)ができてしまった。
③
やって来る。めぐって来る。
出典源氏物語 須磨
「三月(やよひ)の朔日(ついたち)にいできたる巳(み)の日に」
[訳] 三月の初旬にめぐって来た巳の日に。
④
できる。▽可能の意。
出典風姿花伝 三
「これ、能のよくいでくる成就の初めなり」
[訳] これは能がうまくできる成功の糸口である。
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