学研全訳古語辞典 |
こころ-もとな・し 【心許なし】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
じれったい。待ち遠しい。
出典更級日記 物語
「わづかに見つつ心も得ずこころもとなく思ふ源氏を」
[訳] (今まで)読みかじって内容も理解できず、じれったく思っていた『源氏(物語)』を。
②
不安で落ち着かない。気がかりだ。
出典奥の細道 白河の関
「こころもとなき日数重なるままに、白河の関にかかりて、旅心定まりぬ」
[訳] 不安で落ち着かない日々が重なるうちに、白河の関にさしかかって、ようやく旅の覚悟が定まった。
③
ほのかだ。ぼんやりしている。かすかだ。
出典枕草子 木の花は
「花びらの端に、をかしきにほひこそ、こころもとなうつきためれ」
[訳] 花びらの端に、美しい色つやが、ほのかについているように見える。◇「こころもとなう」はウ音便。
心許なしのページへのリンク |