学研全訳古語辞典 |
あくが・る 【憧る】
{語幹〈あくが〉}
①
心が体から離れてさまよう。うわの空になる。
出典源氏物語 葵
「物思ふ人の魂は、げに、あくがるる物になむありける」
[訳] 思い悩む人の魂は、なるほど、体から離れてさまようものであったのだなあ。
②
どこともなく出歩く。さまよう。
出典源氏物語 夕顔
「いさよふ月に、ゆくりなくあくがれむことを、女は思ひやすらひ」
[訳] 沈むのをためらいがちな月に(さそわれて)、不意にどこともなく出歩くようなことを、女はためらい。
③
心が離れる。疎遠になる。
出典源氏物語 真木柱
「御仲もあくがれて、程経(へ)にけれど」
[訳] ご夫婦の仲も疎遠になって、月日がたってしまったけれど。
注意
現代語「あこがれる」のもとになった語だが、現代語と同じ意味には用いない。
あこが・る 【憧る】
「あくがる」に同じ。
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