学研全訳古語辞典 |
て 【手】
①
手。▽指・手のひら・手首・腕などにいう。
出典枕草子 すさまじきもの
「てを折りてうちかぞへなどして」
[訳] 指を折って、数えたりなどして。
②
(器具の)取っ手。横木。
出典枕草子 正月に寺にこもりたるは
「てもなき盥(たらひ)」
[訳] 取っ手もないたらい。
③
筆跡。文字。
出典枕草子 うらやましげなるもの
「てよく書き、歌よく詠みて」
[訳] 文字をうまく書き、歌も上手に詠んで。
④
腕前。技量。
出典源氏物語 帚木
「織女(たなばた)のてにも劣るまじく」
[訳] (裁縫も)織女の腕前にも劣らないに違いなく。
⑤
(物事の)やり方。型。
出典徒然草 一一〇
「いづれのてか、とく負けぬべきと案じて」
[訳] どのやり方が、早く負けてしまうだろうかと考えて。
⑥
部隊。軍勢。配下。
出典平家物語 九・河原合戦
「宇治のてを攻め落といて」
[訳] (義経(よしつね)は)宇治の軍勢を攻め落として。
⑦
傷。負傷。
出典平家物語 四・源氏揃
「わが身、て負ひ、からき命を生きつつ」
[訳] 自分の体は傷を負って、危ない命を保ちながら。
て- 【手】
〔形容詞に付いて〕手段・方法などの程度を強める。「て堅し」「て強(ごは)し」
-て 【手】
①
碁・将棋などの手数を数える語。「一て」。
②
矢二本を一組として数える語。「的矢(まとや)一て」。
③
そのことをする人を表す語。「使ひて」
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