学研全訳古語辞典 |
ゆゑ-な・し 【故無し】
分類連語
①
理由がない。根拠がない。
出典今昔物語集 三〇・七
「ゆゑなく心細く思ひつづけられて」
[訳] 理由もなく心細くしきりに思いがめぐって。
②
情緒がない。たしなみがない。
出典源氏物語 宿木
「ゆゑなくはあらぬをぞ、いささかの慰めにはおぼしける」
[訳] (古風な詠みぶりだが)情緒がなくはないのを、多少の慰めとお思いになるのだった。
③
縁故がない。無縁である。
出典雨月物語 浅茅が宿
「ゆゑなき人の恵みを受けて、いつまで生くべき命なるぞ」
[訳] 縁故がない人の恩恵を受けて、いつまで生き長らえる命なのか。
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