学研全訳古語辞典 |
む-げ・なり 【無下なり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
あまりにひどい。非常によくない。
出典徒然草 二三六
「殊勝のことは御覧じとがめずや。むげなり」
[訳] (こんな)すばらしいことを見てお気づきにならないのか。あまりにひどい。
②
甚だしい。むやみだ。
出典枕草子 職の御曹司におはします頃、西の廂にて
「むげに仲良くなりて、よろづのこと語る」
[訳] むやみに仲良くなって、いろいろなことを話す。
③
まさにその通りである。まぎれもない。
出典落窪物語 三
「まして底に書ける物を見るに、むげに落窪(おちくぼ)の君の手なれば」
[訳] いうまでもなく底に書いた物を見ると、まぎれもなく落窪の君の筆跡なので。
④
〔「むげに」の形で、下に打消・否定表現を伴って〕まったく。全然。
出典徒然草 一八八
「法師のむげに能なきは」
[訳] 法師がまったく技芸のないのは。
参考
④は副詞とする説もある。
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