学研全訳古語辞典 |
む-じゃう 【無常】
①
すべてのものが絶えず生滅(しようめつ)・変化して、少しの間も同じ状態にとどまっていないこと。
出典方丈記
「その主(あるじ)と栖(すみか)と、むじゃうを争ふさま」
[訳] その主人と家とが無常であることを競争するかのように滅びてゆくようすは。◇仏教語。⇒無常
分類文芸
。
②
死。▽人の世がはかないことから。
出典徒然草 五九
「むじゃうの来たることは、水火の攻むるよりも速やかに」
[訳] 死の到来することは、水や火が押し寄せてくるのよりも速くて。
無常
分類文芸
特に鎌倉・室町時代の文芸に共通して見られる理念。この世のものは絶えず生滅(しようめつ)・変化していつまでも存在するものではなく、この世ははかないものであるとする考え。平安時代中期からの末法思想を背景に、戦乱が続いて精神・生活両面に不安の大きかった中世の民衆の間に広まり、無常観としてしだいに時代の風潮となった。文学としては、『万葉集』の一部や、勅撰(ちよくせん)和歌集の「釈教歌(しやつきようか)」にも現れているが、西行(さいぎよう)の和歌や、鴨長明(かものちようめい)の『方丈記』、吉田兼好(けんこう)の『徒然草(つれづれぐさ)』、また『平家物語』など、中世の文学に最も色濃く現れている。
むじょう 【無常】
⇒むじゃう
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