学研全訳古語辞典 |
む-とく・なり 【無徳なり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
(徳がないので)収入が少ない。貧しい。
出典宇津保物語 嵯峨院
「むとくなる司(つかさ)にて年ごろ経(へ)ければ」
[訳] 貧しい役人で長年過ごしたので。
②
何の効果もない。役に立たない。
出典源氏物語 常夏
「水の上むとくなる今日の暑かはしさかな」
[訳] 水の上も役に立たない今日の暑苦しさだなあ。
③
体裁が悪い。ぶざまだ。
出典枕草子 むとくなるもの
「むとくなるもの。潮干の潟にをる大船」
[訳] ぶざまなもの、干潟に残された大船。
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