学研全訳古語辞典 |
おの-づから 【自ら】
①
自然に。いつのまにか。
出典徒然草 五六
「一人に向きて言ふを、おのづから人も聞くにこそあれ」
[訳] 一人に向かって言うのを、自然にほかの人も聞くのである。
②
偶然に。たまたま。まれに。
出典枕草子 はしたなきもの
「おのづから人の上などうち言ひそしりたるに」
[訳] たまたま他人の話などをして、けなしていたのを。
③
〔下に仮定表現を伴って〕もしも。万一。ひょっとして。
出典平家物語 一・祇王
「おのづから後まで忘れぬ御事ならば」
[訳] もしも(この私を)後々まで忘れないお考えならば。
みずから 【自ら】
⇒みづから
み-づ-から 【自ら】
自分自身。本人。
出典方丈記
「頼むかたなき人は、みづからが家をこほちて、市に出(い)でて売る」
[訳] 暮らしを立てるあてのない人は、自分自身の家を壊して、(薪として)市場に出て売る。
私。▽自称の人称代名詞。古くは男女ともに用いたが、近世では女性語となった。
出典大鏡 序
「みづからが子童(こわらは)にてありしとき」
[訳] 私が幼い子供であったとき。
自分自身で。直接に。
出典徒然草 一六七
「一道にも誠に長じぬる人は、みづから明らかにその非を知る故(ゆゑ)に」
[訳] 一道に真に達した人は、自分自身ではっきりと自分の欠点を知っているので。
参考
「みつから」の変化した語。「み」は「身」、「つ」は「の」の意の上代の格助詞、「から」はそれ自体の意の名詞。
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