学研全訳古語辞典 |
きぬ 【衣】
衣服。着物。
出典枕草子 にくきもの
「きぬの下にをどりありきてもたぐるやうにする」
[訳] (蚤(のみ)が)着物の下で飛び跳ねまわって、(着物を)持ち上げるようにする(のはにくらしい)。
参考
上代、衣服をいう語に「きぬ」「ころも」があり、「きぬ」は上半身にまとうものが中心。中古以降は「きぬ」が一般的になり、「ころも」は僧衣に限られ、衣服の意味での「ころも」は歌語にのみ用いられた。
ころも 【衣】
①
衣服。
出典万葉集 二八
「春過ぎて夏来たるらし白栲(しろたへ)のころも干(ほ)したり天(あま)の香具山(かぐやま)」
[訳] ⇒はるすぎてなつきたるらし…。
②
僧の着る衣服。僧衣。
参考
平安時代以後、①は歌語としてだけ用いられ、衣服一般には「きぬ(衣)」、その尊敬語には「おんぞ(御衣)」を使った。物語の地の文などで「ころも」と読むのは、もっぱら②の意味である。
そ 【衣】
ころも。着物。◆ふつう貴人の衣服にいい、また、多く「みぞ(御衣)」「おんぞ(御衣)」「おほんぞ(御衣)」の形で用いる。
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