学研全訳古語辞典 |
とおる 【通る】
⇒とほる
とほ・る 【通る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
通る。通過する。
出典徒然草 五〇
「院の御桟敷(さじき)のあたり、さらにとほり得べうもあらず立ちこみたり」
[訳] 上皇の御桟敷のあたりは、まったく通り抜けることができそうもないほど混雑していた。
②
貫く。つき抜ける。
出典万葉集 二三八六
「巌(いはほ)すら行きとほるべき健男(ますらを)も」
[訳] 大岩さえも貫いて行くにちがいない勇ましい男子も。◇「徹る」とも書く。
③
すき通る。すける。
出典源氏物語 澪標
「外は暗うなり、内は大殿油(おほとのあぶら)、ほのかに物よりとほりて見ゆるを」
[訳] 外は暗くなり、内は大殿油の火がかすかに物越しにすき通って見えるので。◇「透る」とも書く。
④
うまくいく。達成する。
出典徒然草 一四一
「おのづから本意(ほい)とほらぬこと多かるべし」
[訳] 自然、思うようにうまくいかないことが多いにちがいない。
⑤
理解する。悟る。
出典三冊子 俳論
「俳諧(はいかい)は、教へてならざる所あり。よくとほるにあり」
[訳] 俳諧は、教えただけではうまくいかないところがある。自分でよく理解するところにこつがある。
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