学研全訳古語辞典 |
おも-し 【重し・重石】
①
〔「世のおもし」の形で〕柱石。重鎮。人々を抑えしずめる威力。
出典源氏物語 賢木
「世のおもしと、ものし給(たま)へる大臣(おとど)の」
[訳] 天下の重鎮となっていらっしゃる大臣殿の。
②
物を押さえつけるために上に置くもの。
おも・し 【重し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
重い。目方が多い。
出典平家物語 九・木曾最期
「日ごろは何ともおぼえぬ鎧(よろひ)が、今日はおもうなったるぞや」
[訳] いつもはなんとも思われない鎧が、今日は重くなった(と思われる)ことだよ。◇「おもう」はウ音便。
②
落ち着いている。重々しい。
出典源氏物語 夕顔
「おほどきてもの深くおもき方はおくれて」
[訳] おっとりしていて、思慮深く重々しいという面は劣っていて。
③
(身分・価値などが)高い。貴重だ。重要だ。
出典方丈記
「たまたま換ふる者は、金(こがね)を軽くし、粟(ぞく)をおもくす」
[訳] 時たま交換する者は、金の価値を低くし、粟(=穀物)の価値を高くする。
④
しっかりしている。
出典源氏物語 桐壺
「一の御子(みこ)は、右大臣の女御(にようご)の御腹にて、よせおもく、疑ひなきまうけの君と」
[訳] 第一皇子は、右大臣の娘である女御がお生みになった方で、後見がしっかりしていて、まちがいない皇位継承者であると。
⑤
(病気・罪などが)重い。甚だしい。ひどい。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「おもき病をし給(たま)へば、え出(い)でおはしますまじ」
[訳] 重い病気にかかっていらっしゃるので、出ておいでになれないだろう。
重しのページへのリンク |