学研全訳古語辞典 |
あまり 【余り】
①
余分。余り。
出典古事記 仁徳
「枯野(からの)を塩に焼き、其(し)があまりを琴に作り」
[訳] 枯野(という名の船)を塩(を取るため)に焼き、その余分(の木)を琴に作り。
②
〔多く「…のあまりに」の形で〕非常な…の結果。…の余り。
出典土佐日記 二・五
「京の近づく喜びのあまりに、ある童(わらは)の詠める歌」
[訳] 京に近づいたその非常な喜びの結果、ある子供が詠んだ歌。
①
あまりにひどく。度を超えて。
出典源氏物語 若紫
「あやしうもあまりやつしけるかな」
[訳] みっともなくもあまりにひどく(身なりを)みすぼらしくしたものだなあ。
②
〔下に打消の語を伴って〕たいして。
出典枕草子 こころゆくもの
「いとあまりむつまじうもあらぬまらうとの来て」
[訳] それほどたいして親しくもない客が来て。
-あまり 【余り】
①
…ぐらい。…余。▽数量を表す語に付いて、その数量よりいくらか多いことを表す。
出典平家物語 九・宇治川先陣
「頃(ころ)は睦月(むつき)二十日あまりのことなれば」
[訳] 時は一月二十日ぐらいのことなので。
②
…と。▽二桁(けた)の数を示すとき、十の位の数の後に付け、一の位の数がその後にあることを示す。
出典土佐日記 一二・二一
「それの年の十二月(しはす)の二十日あまり一日(ひとひ)の日の」
[訳] ある年の十二月二十日と一日の日の。
-まり 【余り】
「-あまり」に同じ。
出典続日本後紀 承和一二
「百(ももち)まり十の翁(おきな)」
[訳] 百あまり十(=百十)の翁。◆「-あまり」の変化した語。
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