学研全訳古語辞典 |
した 【下】
①
下。下方。下位。
出典今昔物語集 二九・一八
「羅城門(らしやうもん)のしたに立ち隠れて立てりけるに」
[訳] 羅城門の下に隠れて立っていたところ。[反対語] 上(うへ)。
②
内側。内部。
出典徒然草 一五五
「したより萌(きざ)しつはるに堪へずして落つるなり」
[訳] (木の葉は)内側から芽ぐんで熟する勢いに堪えられないで落葉するのである。
③
内心。
出典源氏物語 須磨
「惜しみ聞こえ、したには、朝廷(おほやけ)をそしり恨み奉れど」
[訳] (世の人は源氏の退京を)惜しみ申し上げ、内心では、朝廷を恨んで非難申し上げるけれど。
④
おかげ。もと。▽上位のものの恩顧を受ける立場。
出典源氏物語 須磨
「ありがたき御顧みのしたなりつるを」
[訳] めったに例を見ないほどの(源氏の)ご庇護(ひご)のおかげであったのに。
⑤
劣勢。年若。力不足。低級。▽ものごとの程度が劣ること。
出典義経記 三
「さてははや我はしたになるごさんなれ」
[訳] それではもう私は劣勢になったようである。
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