学研全訳古語辞典 |
しらたまか…
分類和歌
「白玉か何ぞと人の問ひしとき露と答へてけなましものを」
出典新古今集 哀傷・在原業平(ありはらのなりひら)・伊勢物語六
[訳]
「白玉かしら、何かしら」
とあの人が尋ねたとき、「露」と答えて、そのまま消えてしまえばよかったのに。
鑑賞
『伊勢物語』では、結句が「消えなましものを」。ある男が、女を盗み出して芥(あくた)川という川まで来たとき、女は草の上に置く露を見て「あれは何?」と尋ねたけれど、答えずに荒れはてた倉に女を押し入れ、自分は戸口で守っていた。ところが夜が明けてみると女は鬼に食われてしまっていた。その時男が詠んだ歌という。「なまし」は完了の助動詞「ぬ」の未然形+反実仮想の助動詞「まし」の連体形。「露」「消え」は縁語。
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