学研全訳古語辞典 |
つきやあらぬ…
分類和歌
「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身一つはもとの身にして」
出典古今集 恋五・在原業平(ありはらのなりひら)
[訳] 月は昔のままの月ではないのか。春は昔のままの春ではないのか。月も春もすべてが違ってしまったように感じられるが、わが身だけは昔どおりのわが身であって。
鑑賞
恋人を失った男が、去年の春にその恋人とともに過ごした、もう住む人のいない家を訪れて詠んだ歌であるが、解釈には諸説がある。『伊勢(いせ)物語』第四段にも載っている。「あらぬ」「ならぬ」の「ぬ」は、いずれも係助詞「や」の結びで、打消の助動詞「ず」の連体形である。
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