学研全訳古語辞典 |
の・く 【退く】
活用{か/き/く/く/け/け}
①
しりぞく。どく。立ちのく。
出典おらが春 俳文
「雀(すずめ)の子そこのけそこのけ御馬(おうま)が通る―一茶」
[訳] ⇒すずめのこ…。
②
地位を離れる。身を引く。手を引く。しりぞく。
出典大鏡 頼忠
「一条院位につかせ給(たま)ひしかば、…関白のき給ひにき」
[訳] 一条院が即位なされたので、…関白は(その地位を)おしりぞきになった。
③
間が隔たる。離れる。
出典狭衣物語 四
「居給(たま)ふべき所と見ゆるは、寺よりは少しのきてぞありける」
[訳] いらっしゃるはずの所と思われるのは、寺からは少し離れた所にあった。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
①
しりぞかせる。どかせる。
出典枕草子 よろづのことよりも、わびしげなる
「立てる車どもを、ただのけにのけさせて」
[訳] とめてあった多くの車を、強引にどかせて。
②
間を隔てる。離す。
出典徒然草 二一九
「この穴を吹く時は、必ずのく」
[訳] (横笛の)この穴を吹くときは、必ず(口を)離す。
活用{け/け/く/くる/くれ/けよ}
〔動詞連用形+助詞「て」の下に付いて〕…てしまう。
出典曾根崎心中 浄瑠・近松
「いっそ死んでのけたい」
[訳] いっそ死んでしまいたい。
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