学研全訳古語辞典 |
まじ
《接続》活用語の終止形に付く。ただし、ラ変型に活用する語には連体形に付く。
①
〔打消の推量〕(きっと)…ないだろう。…ないにちがいない。…はずがない。…まい。▽あり得ない事態であることを、確信をもって推量する。
出典土佐日記 一・二〇
「かの国人、聞き知るまじく思ほえたれども」
[訳] あの国の人たちには、きっとわからないだろうと思われたけれども。
②
〔不可能の推量〕…できそうにない。
出典竹取物語 かぐや姫の昇天
「えとどむまじければ、たださし仰ぎて泣きをり」
[訳] (おばあさんはかぐや姫を)引きとどめることができそうにないので、ただ仰ぎ見て泣いている。
③
〔不適当な事態〕…てはならない。…ないほうがよい。
出典徒然草 一九〇
「妻(め)といふものこそ男(をのこ)の持つまじきものなれ」
[訳] 妻というものは、男が持ってはならないものである。
④
〔打消の意志〕決して…ないつもりである。…する気はない。…まい。
出典平家物語 一一・先帝身投
「わが身は女(をうな)なりとも、敵(かたき)の手にはかかるまじ」
[訳] わたしは女であっても、決して敵の手にはかからないつもりだ。
語法
(1)「まじ」の各音便形[ア] ウ音便・イ音便[イ] 撥(はつ)音便(2)呼応の用法(3)「じ」との違い⇒じ(4)未然形の「まじく」 「まじく+は」については、次の二とおりの説がある。[イ] の立場に立った場合にだけ、未然形が存在することになる。
語の歴史
「まじ」は、古く上代には「ましじ」という形であったものが変化した、中古以後の語。その後、連体形イ音便「まじい」が中世末期ごろから終止形としても用いられるようになり、それが現代語の「まい」となって残っているのである。
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