ゆくゆく

学研全訳古語辞典

ゆく－ゆく（と）

副詞

① 悶々（もんもん）と。▽気持ちが安定しないようす。

出典 万葉集 一三〇

「ゆくゆくと恋痛きわが背（せ）いで通ひ来（こ）ね」

[訳] 悶々と恋に苦しむあなた。さあ、通っていらっしゃい。

② すらすら（と）。ずけずけ（と）。▽物事が滞りなく、また、なんの遠慮もなく行われるようす。

出典 源氏物語 賢木

「何事にかは滞り給（たま）はむ、ゆくゆくと宮にも愁（うれ）へ聞こえ給ふ」

[訳] 何をためらったりなさろうものか、ずけずけと宮にも訴え申し上げなさる。

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ゆく－ゆく 【行く行く】

副詞

① 行きながら。道すがら。

出典 土佐日記 一二・二八

「ゆくゆく飲み食ふ」

[訳] （海上を）行きながら飲み食いする。

② 行く末に。将来に。

出典 山家集 下

「ゆくゆく人を世に継がへばや」

[訳] 将来世をつぐようにさせたいものだ。