学研全訳古語辞典 |
よし-な・し 【由無し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
理由がない。根拠がない。
出典万葉集 三四三〇
「志太(しだ)の浦を朝漕(こ)ぐ船はよしなしに漕ぐらめかもよ」
[訳] 志太の浦を朝漕ぐ船は理由もなしに漕いでいるのだろうか。
②
方法がない。手段がない。
出典霊異記 上
「しばしば痛み苦しび、癒(い)ゆるによしなし」
[訳] たびたび痛がり、苦しみ、回復するのに方法がない。
③
つまらない。とりとめがない。くだらない。無意味だ。
出典今昔物語集 二八・四二
「我はものへ行かむずる門出なれば、はかなき疵(きず)も打ちつけられなばよしなし」
[訳] 私は(これから)ある所へ行こうという門出のときなので、ほんの少しの傷も負ってしまったらつまらない。
④
関係がない。縁がない。
出典枕草子 すさまじきもの
「あらぬよしなき者の名乗りして来たるも」
[訳] (思っていた人とは)別の関係がない者が名乗って来たのも。
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