学研全訳古語辞典 |
しん 【真】
①
真実。まこと。
出典海道記
「しんを写してもよしなし」
[訳] 真実を写しても無意味だ。
②
真理。
出典性霊集 七
「しんに帰する夕べ」
[訳] 真理に至る夕べ。
③
正式。本式。本当。
④
漢字の書体の一つ。楷書(かいしよ)。真書。
出典大鏡 伊尹
「表の方(かた)には、楽府(がふ)をうるはしくしんに書き」
[訳] 表側には楽府を立派に楷書で書き。
ま- 【真】
〔名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞などに付いて〕
①
完全・真実・正確・純粋などの意を表す。「ま盛り」「ま幸(さき)く」「まさやか」「ま白し」。
②
りっぱである、美しい、などの意を表す。「ま木」「ま玉」「ま弓」
ま-こと 【真・実・誠】
①
真実。事実。本当。
出典徒然草 七三
「世に語り伝ふること、まことはあいなきにや、多くはみな虚言(そらごと)なり」
[訳] 世間で語り伝えていることは、真実はつまらないのであろうか、多くはみんなつくりごとである。
②
誠実。誠意。真心。
出典徒然草 一四一
「あづま人こそ、言ひつることは頼まるれ。都の人は、ことうけのみよくて、まことなし」
[訳] 東国の人は言ったことは頼みになる。都の人は、返事だけがよくて、誠実さがない。
実に。本当に。
出典万葉集 二四五
「聞くがごとまこと貴(たふと)く奇(くす)しくも神さびをるかこれの水島」
[訳] かねて聞いていたように、本当に貴く不思議に神々しい姿をしていることだよ、この水島は。
そうそう。あっ、そうだ。
出典宇治拾遺 八・三
「まことまこと、ありつる鉢を忘れて、取り出でずなりつる」
[訳] そうそう、さきほどの鉢を忘れて、取り出さないままにしてしまった。
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