学研全訳古語辞典 |
いっ-かう 【一向】
①
ひたすら。いちずに。
出典曾我物語 二
「いっかう彼をうち頼み」
[訳] ひたすら彼をあてにして。
②
すべて。ことごとく。
出典平家物語 一・鹿谷
「ただいっかう平家のままにてありしかば」
[訳] (叙位などは)まったくすべて平家の意のままであったので。
③
〔多く下に打消の語を伴って〕さっぱり。まるで。
出典平家物語 八・妹尾最期
「いっかう前が暗うて見えぬぞ」
[訳] さっぱり前が暗くて見えないぞ。
④
いっそのこと。
出典出世景清 浄瑠・近松
「本意(ほい)なくも打ち損じ、いっかうに重忠(しげただ)とさし違へ死なんとは思ひしが」
[訳] 意に反して打ち損ない、いっそのこと重忠と刺し違えて死のうと思ったが。
いっこう 【一向】
⇒いっかう
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