学研全訳古語辞典 |
あ・ぐ 【上ぐ・挙ぐ】
活用{げ/げ/ぐ/ぐる/ぐれ/げよ}
①
上へやる。位置を高くする。
出典源氏物語 若紫
「簾(すだれ)少しあげて、花奉るめり」
[訳] (尼君は)すだれを少し上げて、(仏に)花をお供えしているようだ。
②
(髪を)結いあげる。
出典伊勢物語 二三
「比べ来(こ)し振り分け髪も肩過ぎぬ君ならずして誰(たれ)かあぐべき」
[訳] ⇒くらべこし…。
③
神仏に供える。奉納する。
出典栄花物語 鶴の林
「経一偈(げ)をあげさせ給(たま)ひて」
[訳] お経の一つを奉納なさって。
④
(地方から)都へ行かせる。
出典更級日記 かどで
「京にとくあげ給(たま)ひて、物語の多く候ふなる、あるかぎり見せ給へ」
[訳] (神様どうか)私を都に早く行かせてくださって、物語がたくさんございますそうですが、(それを)残らず全部お見せください。
⑤
昇任・昇格させる。
出典夜の寝覚 五
「弁少将を右大将にあげて」
[訳] 弁少将を右大将に昇格させて。
⑥
声を大きくする。
出典平家物語 九・宇治川先陣
「佐々木、鐙(あぶみ)踏んばり立ち上がり大音声(だいおんじやう)をあげて名乗りけるは」
[訳] 佐々木は、鐙を踏んばり馬上に立ち上がり、大声を上げて名乗ることには。
⑦
世に名を広める。
出典平家物語 五・五節之沙汰
「後代(こうたい)に名をあげたりし者にて候ふ」
[訳] 後の世まで評判を上げていた者でございます。
⑧
成し遂げる。仕上げる。
出典大鏡 伊尹
「おもしろくあげ給(たま)へば」
[訳] (馬を)すばらしく乗りおさめなさるので。
⑨
差し上げる。
出典膝栗毛 滑稽
「おつれのおかたへあげてくださんせ」
[訳] お連れのお人へ差し上げてくださいませ。
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