学研全訳古語辞典 |
せ-けん 【世間】
①
俗世。俗人。生き物の住むところ。
出典今昔物語集 五・一二
「生死(しやうじ)の無常を観じ、せけんの受楽(じゆらく)を厭(いと)ひて出家したまふなり」
[訳] 生まれ死ぬという世の無常を悟り、俗世の享楽を嫌って出家なさるのだ。◇仏教語。
②
世の中。この世。世の中の人々。
出典徒然草 一八八
「せけんの人、なべてこのことあり」
[訳] 世の中の人には、一般的にこのようなことがある。
③
あたり一面。外界。
出典大鏡 道長下
「にはかに霧立ち、せけんもかい暗がりて侍(はべ)りしに」
[訳] 急に霧が立ちこめ、あたり一面も真っ暗になっておりましたので。
④
暮らし向き。財産。
出典沙石集 九
「かの地頭(ぢとう)、せけんも衰へ、つひにみまかりぬ」
[訳] その地頭は、暮らし向きも悪くなっていって、とうとう亡くなってしまった。
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