学研全訳古語辞典 |
イ 【位・囲・威・為・韋・違・遺】
⇒ゐ
くらい 【位】
⇒くらゐ
くら-ゐ 【位】
①
天皇の位。皇位。帝位。
出典源氏物語 薄雲
「さらに親王(みこ)にもなり、くらゐにも即(つ)き給(たま)へるも」
[訳] (一世の源氏が)新たに親王にもなり、天皇の位にもおつきになったことも。
②
(官職などの)地位。身分。
出典源氏物語 東屋
「大臣(おとど)のくらゐを求めむと思(おぼ)し願ひて」
[訳] 大臣の地位を得ようとお望みになって。
③
宮中での序列。位階。
出典源氏物語 桐壺
「三位(さんみ)のくらゐ贈り給(たま)ふよし、勅使来て、」
[訳] (帝(みかど)が亡き桐壺更衣(きりつぼのこうい)に)三位の位階を追贈しなさることで、お言葉を伝える勅使が来て、。
④
(学問・芸能などの能力の)段階。程度。等級。
出典徒然草 一五〇
「道になづまず、みだりにせずして年を送れば、堪能(かんのう)の嗜(たしな)まざるよりは、終(つひ)に上手(じやうず)のくらゐにいたり」
[訳] (才能のない人でも)けいこの道に停滞せず、自分勝手にしないで年月をおくれば、才能があっても熱心にやらない人よりは、ついには名人の段階に達して。
⑤
品位。品格。
出典好色一代女 浮世・西鶴
「姿にくらゐそなはり、心立ておとなしく」
[訳] 容姿に品位が備わって、気立てはおとなしく。
⑥
(俳諧(はいかい)で)句の品位。前句の素材や着想と釣り合うように、付け句を作ることをいう。
出典去来抄 修行
「好句ありとても、くらゐ応ぜざればのらず」
[訳] よい句であっても、(前の)句の品位と釣り合わないと調和しない。
参考
「位」の③は、臣下では、一位から初位(そい)(八位の下)までの九等級で、さらにそれが細分されて三十段階あった。
-ゐ 【位】
官位の等級を表す。一位から八位までそれぞれ正(しよう)と従(じゆ)の二階に分かれ、四位以下は、さらに上・下があって四階に分かれる。しかし、七位以下は平安時代中期以降は実際には与えられなかった。「正一位(しよういちゐ)」「従五位下(じゆごゐのげ)」
位のページへのリンク |