学研全訳古語辞典 |
いづ-こ 【何処】
どこ。どちら。▽場所についていう不定称の指示代名詞。
出典枕草子 うらやましげなるもの
「上の女房の、御方々いづこもおぼつかなからず参り通ふ」
[訳] 帝(みかど)付きの女房で、お妃がたのどこへでも気がかりでなく参上して出入りする(人はうらやましい)。
いずこ 【何処】
⇒いづこ
いどこ 【何処・何所】
どこ。▽場所についていう不定称の指示代名詞。
出典土佐日記 一・二九
「ここやいどこ」
[訳] ここはどこか。◆「いづく」の変化した語。
いづ-へ 【何処・何方】
どのあたり。どちら。▽場所についていう不定称の指示代名詞。
出典万葉集 四一九五
「霍公鳥(ほととぎす)いづへの山を鳴きか越ゆらむ」
[訳] ほととぎすは、どのあたりの山を鳴いて越えているだろうか。
いづ-く 【何処】
どこ。▽場所についていう不定称の指示代名詞。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「いづくより来つる猫ぞと見るに」
[訳] どこからやってきた猫かと見ているうちに。◆「く」は場所を表す接尾語。⇒いづこ・いづち
語の歴史
中古に「いづこ」となるが、「いづく」も用いられた。
いずく 【何処】
⇒いづく
いずち 【何方・何処】
⇒いづち
いづ-ち 【何方・何処】
どこ。どの方向。▽方向・場所についていう不定称の指示代名詞。
出典平家物語 九・木曾最期
「おのれはとうとう、女なれば、いづちへも行け」
[訳] おまえは早く早く、女なので、どこへでも(逃げて)行け。◆「ち」は方向・場所を表す接尾語。⇒いづかた・いづこ・いづら・いづれ
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