学研全訳古語辞典 |
たとへ-ば 【例へば・譬へば】
①
〔下に「ごとし」を伴って〕他のものにたとえて言えば。さながら。ちょうど。
出典徒然草 一八八
「たとへば、碁を打つ人、一手(ひとて)も徒(いたづ)らにせず、人に先だちて、小を捨て大につくがごとし」
[訳] ちょうど、碁を打つ人が、一手も無駄にせず、相手に先立って、利益の小さい石を捨て大きい石に力を入れるようなものだ。
②
具体的に説明すると。
出典平家物語 六・祇園女御
「六十ばかりの法師なり。たとへば、御堂(みだう)の承仕法師(じようじぼふし)でありけるが」
[訳] 六十ぐらいの法師である。具体的に説明すると、堂内の雑用をする法師であったが。
③
端的に言うと。言うなれば。
出典平家物語 六・廻文
「たとへば、日本国二人の将軍と言はればや」
[訳] 端的に言うと、日本国の二人の将軍と言われたい。
④
仮に。たとえ。もし。
出典新古今集 恋三
「ただ頼めたとへば人の偽りを重ねてこそは」
[訳] ただ頼りにしなさい。仮に私が偽りを重ねたら。◆動詞「たとふ」の未然形に接続助詞「ば」が付いて一語化したもの。
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