学研全訳古語辞典 |
ためし 【例】
前例。例。
出典方丈記
「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」
[訳] (川の)流れが滞っている所に浮かんでいる水の泡は、一方では消え、同時に一方ではできて、そのまま(川の面に)長くとどまっている例はない。
れい 【例】
①
先例。前例。ためし。
出典源氏物語 桐壺
「かかるほどにさぶらひたまふ、れいなきことなれば」
[訳] このような折に(宮中に)お仕えなさることは、先例がないことなので。
②
習わし。しきたり。
出典土佐日記 一二・二一
「ある人、県(あがた)の四年五年(よとせいつとせ)はてて、れいのことどもみなし終へて」
[訳] ある人が、任国での四、五年の任期が終わって、習わしの事務引き継ぎなどもすべて終了して。
③
いつものこと。ふだん。平常。
出典枕草子 にくきもの
「験者(げんざ)もとむるに、れいある所にはなくて」
[訳] 修験者を探し求めるが、ふだんいる所にはいなくて。
④
あたりまえ。普通。並み。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「心のなし、目のうちつけに、れいの猫にはあらず」
[訳] 気のせいか、ちょっと見たところ、普通の猫のようではなく。
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