学研全訳古語辞典 |
かたはら-いた・し 【傍ら痛し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
きまりが悪い。気恥ずかしい。▽自分の言動を、そばにいる人がどう思うかと強く意識される気持ち。
出典枕草子 中納言まゐり給ひて
「かやうのことこそは、かたはらいたきことのうちに、入れつべけれど」
[訳] こういうことは、きまりが悪いことの中に加えてしまうべきだけれども。
②
腹立たしい。苦々しい。みっともない。▽他人の言動を、自分がそばで見聞きして気に入らないと思っているときの気持ち。
出典枕草子 文ことばなめき人こそ
「おほかたさし向かひても、なめきは、などかく言ふらむとかたはらいたし」
[訳] 大体、向かい合って話す場合でも、言葉が無礼なのは、なぜこのようにしゃべるのかと、腹立たしい。
③
気の毒である。心苦しい。▽そばにいる人のことを思いやる気持ち。
出典源氏物語 桐壺
「このごろの御気色を見奉る上人(うへびと)女房などは、かたはらいたしと聞きけり」
[訳] このごろの帝(みかど)のごようすを拝見している殿上人・女房などは、(弘徽殿(こきでん)の女御(にようご)のなさる音楽を、帝にとって)気の毒だと聞いていた。
かたわらいたし 【傍ら痛し】
⇒かたはらいたし
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