学研全訳古語辞典 |
ひそ-か・なり 【密かなり・窃かなり・私かなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
①
物ごとをこっそりする。
出典蓼太句集 俳諧
「五月雨(さみだれ)やある夜(よ)ひそかに松の月―蓼太」
[訳] 五月雨が降り続くこのごろだが、ある夜ふと空を見上げると、月がこっそりと松の木にかかっていたことだ。
②
私的なこと・ものだ。
出典平家物語 四・南都牒状
「ほしいままに国威をひそかにし」
[訳] (平清盛は)思いのままに国の権威を私的なものにして。◆「か」は接尾語。
参考
漢文訓読体の文章に用いられた語。中古の仮名文には、多く「みそかなり」が用いられた。
みそ-か・なり 【密かなり】
活用{なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ}
こっそり振る舞っている。ひそかだ。
出典大鏡 花山
「みそかに花山寺(くわざんじ)におはしまして」
[訳] ひそかに花山寺においでになって。
参考
「みそかなり(みそかに)」は中古の和文体に多く用いられ、漢文訓読体では「ひそかなり(ひそかに)」を用いた。
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