学研全訳古語辞典 |
ねん-な・し 【念無し】
活用{(く)・から/く・かり/し/き・かる/けれ/かれ}
①
残念である。くやしい。
出典平家物語 六・祇園女御
「これを射も殺し、斬(き)りも殺したらんは、無下(むげ)にねんなかるべし」
[訳] これを射殺したり、斬り殺したりしたら、大変に残念であるにちがいない。
②
思いがけない。意外である。
出典末広がり 狂言
「ねんなう早かった」
[訳] (来るのが)意外に早かった。◇「ねんなう」はウ音便。
③
たやすい。容易である。
出典太平記 一七
「高櫓(たかやぐら)一つ、ねんなく攻め破られて焼きけり」
[訳] 高楼が一つ、たやすく攻め破られて焼けてしまった。
注意
考えが足りないの意味の、「念+無し」という本来の用法もある。
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