学研全訳古語辞典 |
うち-い・づ 【打ち出づ】
活用{で/で/づ/づる/づれ/でよ}
①
出る。現れる。
出典万葉集 三一八
「田子(たご)の浦ゆうちいでて見れば真白(ましろ)にそ富士の高嶺(たかね)に雪は降りける」
[訳] ⇒たごのうらゆ…。
②
出陣する。出発する。
出典平家物語 九・小宰相身投
「明日うちいでんとての夜」
[訳] 明日出陣しようと思っていたその夜。
③
でしゃばる。
出典徒然草 五六
「あまたの中にうちいでて、見ることのやうに語りなせば」
[訳] 大勢の中にでしゃばって、見ているようにこしらえて話すので。◆「うち」は接頭語。
活用{で/で/づ/づる/づれ/でよ}
①
打って(音を)出す。打ち鳴らす。
出典源氏物語 篝火
「拍子うちいでて忍びやかに歌ふ声」
[訳] (弁の少将が)拍子を打ってひそやかに歌う声は。
②
ちょっと出す。「出(い)だし衣(ぎぬ)」をする。
出典栄花物語 根合はせ
「唐衣(からぎぬ)などうちいでたり」
[訳] 唐衣などをちょっと出していた。
③
口に出して言う。
出典伊勢物語 四五
「うちいでむことかたくやありけむ」
[訳] (恋の思いを)口に出して言うことが難しかったのだろうか。◆②③の「うち」は接頭語。
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