学研全訳古語辞典 |
うち-い・る 【打ち入る】
活用{ら/り/る/る/れ/れ}
①
(馬で川や山などに)勢いよく駆け入る。
出典今昔物語集 二九・二九
「馬を走らせて山にうちいりて見ければ」
[訳] 馬を走らせて山に勢いよく駆け入って見たところ。
②
入る。
出典東関紀行
「少しうちいりて見るに」
[訳] (街道から)ちょっと入って見ると。
③
熱中する。
出典西鶴織留 浮世・西鶴
「明け暮れ碁にうちいりて」
[訳] 毎日碁に熱中して。
④
攻め込む。
出典平家物語 四・信連
「よろうたる者どもがうちいりて候ふを」
[訳] よろいを着けた者たちが攻め込みましたのを。◆①②③の「うち」は接頭語。④は「討ち入る」とも書く。
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
ひょいと入れる。
出典竹取物語 かぐや姫の生ひ立ち
「手にうちいれて家へ持ち来(き)ぬ」
[訳] (かぐや姫を)手のひらにひょいと入れて家へ持ってきた。
②
(乗馬を、川・海などへ)勢いよく乗り入れる。
出典平家物語 一一・那須与一
「矢ごろ少し遠かりければ、海へ一段(いつたん)ばかりうちいれたれども」
[訳] 矢を射当てるのに適当な距離が少し遠かったので、海へ一段(=約十一メートル)くらい(馬を)勢いよく乗り入れたのだが。
③
(ばくちなどで)金品をつぎ込む。
出典徒然草 一二六
「ばくちの、負けきはまりて、残りなくうちいれんとせんに会ひては」
[訳] ばくち打ちですっかり負けて、(残った金品を)全部つぎ込もうとする人に向かっては。◆「うち」は接頭語。
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