学研全訳古語辞典 |
ふり-い・づ 【振り出づ】
活用{で/で/づ/づる/づれ/でよ}
①
振り捨てて出発する。
出典更級日記 初瀬
「その日しも京をふりいでて行かむも」
[訳] (大嘗会(だいじようえ)の御禊(ごけい)の)その日によりによって京都を振り捨てて出発して行こうというのも。
②
声を振りしぼるように鳴き出す。
出典源氏物語 鈴虫
「鈴虫のふりいでたる程」
[訳] 鈴虫が声をふりしぼるように高く鳴き出したようす(は)。
③
紅(くれない)を水に振り出して染める。
出典古今集 恋二
「紅のふりいでつつなく涙には袂(たもと)のみこそ色まさりけれ」
[訳] (染料の)紅を水に振り出して染め染めしては(私は)声をしぼって泣く、その悲しみの血の涙で袂だけは色が美しくなった。
参考
③は用例からもわかるように、歌では②の意をかけて用いられる。
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