学研全訳古語辞典 |
ひか・ふ 【控ふ】
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
①
進まないで待つ。待機する。
出典枕草子 祭のかへさ
「ひかへたる車どもを見やりたるこそ、をかしけれ」
[訳] 待機している多くの車をながめているのが、おもしろい。
②
そば近くにいる。控える。
出典落窪物語 三
「まこと、かの物縫ひし夜、ひかへたりけるはこの君なりけり」
[訳] 本当に、あの物を縫った夜中に、そばに控えていたのはこの君だったのだなあ。
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
①
止める。抑える。引き止める。
出典古今集 秋下・詞書
「紅葉の散る木のもとに、馬をひかへて立てるを」
[訳] 紅葉の散る木の下で、馬を止めて(馬に乗ったまま)立っている(絵があった)のを。
②
引っ張る。手にとる。つかむ。
出典平家物語 灌頂・女院死去
「中尊(ちゆうぞん)の御手(みて)の五色の糸をひかへつつ」
[訳] (女院は)中央の仏(=阿弥陀(あみだ)如来)の御手にかけた五色の糸を手にとりながら。
③
やめておく。見合わせる。控え目にする。
出典宇治拾遺 一四・一一
「その一事をばひかへて、教へざりけり」
[訳] その一つのこと(=人を殺す術)は、見合わせて、教えなかった。
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