学研全訳古語辞典 |
もら・す 【漏らす・洩らす】
活用{さ/し/す/す/せ/せ}
①
(水などを)漏らす。こぼす。
出典古今集 恋三
「涙せきあへずもらしつるかな」
[訳] 涙を止めることができず、こぼしてしまったなあ。
②
秘密などをひそかにほかに知らせる。
出典宇津保物語 国譲下
「宣旨(せんじ)の前(さき)に人にもらすな」
[訳] 宣旨を下す前に人にこっそり教えるな。
③
気持ちをうっかり外に現す。
出典源氏物語 藤裏葉
「心おごりして、すきずきしき心ばへなどもらし給(たま)ふな」
[訳] 得意になって、(ほかの女に)関心のあるような気持ちなどをうっかり外に現しなさるな。
④
抜かす。省く。
出典源氏物語 夕顔
「くだくだしければ、例のもらしつ」
[訳] 煩わしくなるので、いつものとおりに省略した。
⑤
取り逃がす。取り残す。
出典平家物語 六・築島
「一人ももらさず、三十人ばかりからめて」
[訳] 一人も取り逃がさず、三十人ばかり捕らえて。
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