学研全訳古語辞典 |
なが・る 【流る】
活用{れ/れ/る/るる/るれ/れよ}
①
流れる。
出典奥の細道 平泉
「北上川、南部よりながるる大河なり」
[訳] 北上川は南部地方から流れる大河である。
②
(月日が)過ぎる。たつ。流れる。
出典古今集 冬
「昨日(きのふ)といひ今日と暮らしてあすか川ながれてはやき月日なりけり」
[訳] 昨日はああ、今日はこうと暮らして明日を迎えていたが(もう年末)、飛鳥(あすか)川の流れのように早く過ぎるものは月日だなあ。
③
広まる。しだいに伝わる。
出典更級日記 初瀬
「その日しも京(きやう)をふり出(い)でて行かむも、いともの狂ほしく、ながれての物語ともなりぬべきことなり」
[訳] その日によりによって京都を振り捨てて出発して行こうというのも、全く異常であって、しだいに伝わっての語り草となるにきまっている。
④
回る。
出典源氏物語 行幸
「土器(かはらけ)あまたたびながれ、皆酔(ゑ)ひになりて」
[訳] 杯が何度も回り、皆酔った状態になって。
⑤
生きながらえる。
出典古今集 恋五
「水のあわの消えでうき身といひながらながれてなほもたのまるるかな」
[訳] 水の泡が消えないでいるようなつらい身であるとはいうけれど、生きながらえているとなおも生きたいと思うことだ。
⑥
流罪になる。島流しになる。
出典蜻蛉日記 中
「天下(てんげ)の人々、ながるるとののしること出(い)できて」
[訳] 世間の人々が、流罪になると大騒ぎする事件が起きて。
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