学研全訳古語辞典 |
もの-むつか・し 【物難し】
活用{(しく)・しから/しく・しかり/し/しき・しかる/しけれ/しかれ}
①
なんとなく嫌である。なんとなくうっとうしい。
出典紫式部日記 寛弘五・一一・一
「見所もなきふるさとの木立(こだち)を見るにも、ものむつかしう思ひ乱れて」
[訳] 見所もない実家の木立を見るにつけても、なんとなくうっとうしく思い乱れて。◇「ものむつかしう」はウ音便。
②
薄気味悪い。
出典源氏物語 夕顔
「鳥部野(とりべの)の方(かた)見やりたるほどなどものむつかしきも」
[訳] (火葬場のある)鳥部野の方をはるかに見渡したときなど、薄気味悪いのも。◆「もの」は接頭語。
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