学研全訳古語辞典 |
いら・ふ 【答ふ・応ふ】
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
答える。返事をする。
出典宇治拾遺 一・一二
「いま一声呼ばれていらへんと、念じて寝たるほどに」
[訳] もう一度呼ばれてから返事をしようと、じっとこらえて寝ているうちに。
参考
「いらふ」と「こたふ」の違い 「こたふ」が相手の問いにまともに答えるのに対して、「いらふ」は、適当に返事する場合に用いられる。中世以降は多く「こたふ」が用いられた。
こた・ふ 【答ふ・応ふ】
活用{へ/へ/ふ/ふる/ふれ/へよ}
①
返答する。うけこたえする。
出典更級日記 大納言殿の姫君
「笛の音ねのただ秋風と聞こゆるになどをぎの葉のそよとこたへぬ」
[訳] 笛の音がまるで秋風のように聞こえるというのに、風になびくはずの荻(おぎ)の葉はなぜ「そよ」とも返答しないのでしょう。
②
反響する。こだまする。
出典古今集 恋一
「山びこのこたへぬ山はあらじとぞ思ふ」
[訳] 山びこの反響しない山はあるまいと思う。
③
感応する。信心に神仏などが反応を示す。
出典後拾遺集 雑六
「わが祈(ね)ぎ事を神もこたへよ」
[訳] 私の願い事に神も応じてください。
参考
「こたふ」と「いらふ」の違い 「こたふ」は、問いかけに対してまともに応答することを意味するが、「いらふ」は、人に対して適当にあしらって応ずる意味を含む。
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