学研全訳古語辞典 |
へ 【辺・方】
①
辺り。ほとり。そば。
出典万葉集 四〇九四
「大君のへにこそ死なめ」
[訳] (私は)天皇のそばでこそ死のう。
②
海辺。海岸。
出典日本書紀 神代下
「沖つ藻はへには寄れども」
[訳] 沖の藻は海辺に近寄るけれども。[反対語] 沖(おき)。
-へ 【辺】
…の辺り。…の方。「沖へ」「末へ」
-べ 【辺】
①
…の辺り。…の方。「葦(あし)べ」。
②
…のころ。「春べ」「夕べ」
へた 【辺・端】
はし。へり。ほとり。海辺。
へん 【辺】
①
辺り。付近。
②
国ざかい。
③
程度。ほど。
ほとり 【辺】
①
辺境。果て。
出典今昔物語集 三・一一
「彼よりも広く、ほとりなき国にて」
[訳] (この竜宮は)あなたの国よりも広く、果てのない国で。
②
そば。かたわら。近辺。
出典方丈記
「乞食(こつじき)、路(みち)のほとりに多く」
[訳] 乞食は道のかたわらに多く。
③
関係の近い人。縁故のある人。
出典源氏物語 真木柱
「人ひとりを思ひかしづき給(たま)はむゆゑは、ほとりまでも匂(にほ)ふ例(ためし)こそあれ」
[訳] 人(=紫の上)ひとりを大切にお世話なさるとしたら、それによって、縁故のある人までも恩恵を受けて栄える例はある。
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