学研全訳古語辞典 |
はる-か・なり 【遥かなり】
活用{(なら/なり・に/なり/なる/なれ/なれ)}
①
遠く離れている。ずっと遠い。▽距離的・空間的に隔たっているようす。
出典更級日記 子忍びの森
「ありありてかくはるかなる国になりにたり」
[訳] とどのつまり、このような遠く離れている国の国司になってしまったのだ。
②
ほど遠い。ずっと将来である。▽時間的に隔たっているようす。
出典枕草子 ゆくすゑはるかなるもの
「ゆくすゑはるかなるもの。…生まれたる稚児(ちご)の大人になる程」
[訳] 将来がほど遠いもの。…生まれた赤子が大人になるまでの間。
③
気が進まない。その気になれない。うとましい。▽気分的に隔たっているようす。
出典源氏物語 桐壺
「大床子(だいしやうじ)の御膳(おもの)などは、いとはるかにおぼし召したれば」
[訳] (悲しみから)大床子の御膳(=天皇の昼の正式の食事)などは、とてもその気になれない(=食べる気になれない)とお思いになっているので。
④
(程度が)甚だしい。
出典徒然草 一八四
「皆を張りかへ候はんは、はるかにたやすく候ふべし」
[訳] (障子の紙の)全部を張りかえますなら、そのほうがはなはだ容易でございましょう。
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